★科博オープンラボ@つくば 研究紹介スペシャルトーク「海岸に打ち上がる海の哺乳類が博物館標本になるまで」まとめレポート!

2017年4/22(土)に科博オープンラボのトークイベント内で動物研究部田島先生による「ストランディング講座」に参加してきました!その講義内容のまとめレポートをお届けします!

 

田島先生のわかり易い説明で、ストランディングの概要や抱えている問題点を学ぶことができ、とても刺激を受けました!

 

 

 

 

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◆2017年4/22(土)科博オープンラボ@つくば
◆研究紹介スペシャルトークテーマ

 【海岸に打ち上がる海の哺乳類が博物館標本になるまで】
◆解説:動物研究部 田島木綿子先生
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 ■冒頭あいさつ
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皆さん、こんにちは。わざわざお越し頂いてありがとうございます。スペシャルトークの最後を担当させて頂く動物研究部の田島と申します。私は主に、海の哺乳類を担当しており、今日は少しの時間ですが、私たちが日頃どういう活動をしているのか紹介していきたいと思います。彼らは主に海に棲んでいる哺乳類ですが、自ら海岸に打ち上がってきてしまう「ストランディング」という現象があります。私が勤務している国立科学博物館、または研究、大学、地域の博物館など様々なところで、こうした個体の調査研究する活動に長年に渡って携わっています。当館でもプロジェクト研究として、前任者の方から受け継いで活動を続けています。

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■1クジラの分類について
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改めまして、海の哺乳類について、説明していきたいと思います。というのは、今でも「イルカは、サメなんですか?」「魚なんですか?」という質問を受けますので、人間と同じ哺乳類であるといことを今一度確認して頂きたいと思います。

海の哺乳類は、現在、世界的にスライドのように分類されています。「ホッキョクグマ」や「マナティ」などは日本に棲んではいませんが、日本周辺で一番見られる種類は「クジラ」なんですね。クジラは全世界で約90種近く発見されていますが、その約半分が日本の近海で遭遇できるんですね。日本周辺には、クジラが回遊してきたり、生息していたりとクジラの研究者、またはクジラ好きにとって日本はとてもいい場所であると言えます。

「ウシ」や「ラクダ」「カバ」など足の爪が二つある動物を偶蹄類といいます。色々な研究から鯨類がこの偶蹄類に近いということが分かって、文部科学省は、「鯨目」から「鯨偶蹄目」という分類群名に変更しました。「鯨類」と「偶蹄類」がそれだけ近いということになんですね。

「食肉目」は、私はこの分類群の名前が好きなんですが、なぜか文部科学省は「ネコ目」に変更したいということで、「ネコ目」と記載されている教科書もあります。「食肉目」は、たくさん種類があるのでご存じかと思いますが、足がヒレ状になっている種類「アザラシ」「アシカ」は、哺乳類の仲間になります。また、「食肉目」の中でも足が裂けている「裂脚亜目」には「ラッコ」「ウミカワウソ」「ホッキョクグマ」という海の哺乳類に分類される動物が含まれます。「海に棲む哺乳類」と書いて「海棲哺乳類」と言いますが、研究者が色々考える時に「海に戻った哺乳類」という言い方もできるんですね。

彼らの祖先は、一度陸に上がった哺乳類の中から、なぜか変わりモノとして海にもう一度戻ってしまったという哺乳類になんですね。海に棲む哺乳類として考えて頂くのもいいのですが、「海に戻った変わりモノたちである」という観点から色々なことがわかることもあります。

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 ■2海の哺乳類の系統について

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もう少し哺乳類について考えていきたいと思います。これは、2007年に「ネイチャー」に掲載したある研究者の哺乳類の系統樹になります。先程ご説明した、大きく分けて3つの分類群はどこにいるのだろうと考えた時に、私たちは「海棲哺乳類」と言っていますが、祖先はそれぞれ別のところから発生しています。「ジュゴン・マナティ」「アシカ・アザラシ」「クジラ・イルカ」にわかれます。この三つの分類群が、いま海中や水中に棲んでいるわけです。

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■3ストランディングとは?

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本来、海や水の中にいる生物が海岸に打ち上がってしまう現象を「ストランディング」と言います。これは英語で「Strand」という単語から派生した言葉です。ストランディングは、生きて座礁してしまう事もありますし、残念ながら死んでしまう個体も多くあります。 生きている個体は、水族館などに救護する専門チームがいますが、博物館に勤務している私たちは、死んだ個体を調査して様々なことに活用しています。こうした調査は世界的におこなわれています。「ストランディング」という言葉を、今日は覚えて帰って頂けたらと思います。

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 ■4なぜストランディングしてしまうのか?

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「なぜストランディングするのですか?」と必ず聞かれますが、解らない事が多いです。 この世界に入るキッカケも「ストランディングはどうして起こるのだろう?」ということが動機のひとつで、今でも「なぜ起こるのか」を考えながら調査しています。昔から「ストランディング」という現象はありましたので、「サメに襲われた」「海と陸を勘違いした」など諸説いろいろと言われています。解ってきていることもありますが、解明されていないこともたくさんあります。

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 ■5ストランディングの原因に迫る!

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 死亡してしまった個体を海岸で発見した場合、「なぜストランディングしたのか」「なぜ死亡してしまったのか」ということを調査していきます。 学生時代から調査に参加していますが、死亡個体がゴミとして処分される前に研究者たちは、その個体を回収し各種調査・研究をして、解明されていない部分に挑んでいます。そのためには、様々な学問が必要となります。私は病気が専門のため、病気が原因ではないかという観点からストランディングが起こる理由を模索しています。

 

各分野の研究者たちと連携して、「なぜ、ストランディングしてしまうのか?」を解明するため、日々研究しています。

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 ■6博物館の機能

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 博物館の機能としては知的好奇心を満たすため、様々な標本や学問があります。その生物、その分類群、物質(例えば「石」など)について、何か知りたい、何か学びたい時、教科書や参考資料、WEBなどで調べることができますが、こうした知識は、先駆者たちが蓄積し収集した情報があるからこそ学ぶことができるわけです。海の哺乳類を含む野生動物については、当たり前のことがほとんど解っていません。教科書に掲載されている内容もあまり解っていないことが多いです。博物館としては、学問的な色々な知見を増やす、または未解明なことをひとつひとつ穴埋めしていくことも大事な機能だと思っています。海の哺乳類の場合は、ストランディング個体を活用して、知見を増やしていくために私たちは活動しています。

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■7ストランディング調査①

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 では実際のストランディング調について、今回は概要を説明していきます。人間の場合、身長160何cmであれば、例えば成長が止まっている可能性があるとか、90cmの子どもだったらまだまだ成長するだろうといったことは、当たり前の事実として解っています。野生動物の場合は、体長がどの年齢に相当するかさえも不明です。このような基礎的なデータをひとつひとつ蓄積するため、外側の計測をしたり、写真撮影でその個体の色や形を記録していきます。

 

例えばストランディングの場合、博物館の標本と違い、その生物が自ら海岸に打ち上がって死亡してしまうため、そこに何か原因があるだろうと私たちは踏んでいるわけです。まず、外側の観察をして、この個体が死亡した何か証拠、またそれを示す所見があるのではないかと調べていきます。外側に何かサインがないか、詳しく観察して記録していきます。

 

深海にいるサメの仲間で「ダルマザメ」という種類がいます。これで死亡することはないのですが、彼らはクジラやイルカの皮下脂肪が非常に好きなんですね。英語名で「Cookie-cutter shark」というのですが、お菓子作りが好きな方はご存じだと思いますが、クッキー用の片ヌキのように、口をクジラの体に当て、自分の体を回転させて脂肪をえぐり取って食べています。こうした咬傷痕や食害なども記録します。

 

また、カメもそうなんですが、歯などの堅い部分にいる寄生虫が与える影響も大事ですので、外部寄生虫の有無も記録していきます。これらが外側調査の一例です。

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■8ストランディング調査②

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内臓も調査が必要となります。ストランディングは、いつどこでどんな種類が打ち上がるか予測がつきません。ストランディングがあった場合は、可能な限りのサンプリングや計測をおこなうようにしています。1個体の様々な部位から、各種の研究を進めるように努力しています。その一例ですが、ハクジラの場合は、歯から年齢査定をおこないます。「何歳で出産できるようになるのか?」「何歳で死亡するのか?」などもほとんど解っていません。歯からおこなった年齢査定で、成長段階を知ることができます。

 

個体に胃の内容物があった場合は、それからどんなモノを食べているのかを調べることができます。例えば、イワシやサンマ、カムチャツカテカギイカ、ユウレイイカ好きなど色々ありますが、こうしたエサ生物の嗜好性も調査できます。病気で死亡した場合は、どんな病気が原因だったのかということも調べます。表皮を使った分類学では、例えばカマイルカでは、「日本海側と太平洋側では同じなのか?」「世界中にいるカマイルカは、同じカマイルカなのか?」など分類を調べます。

 

皆さんの大好きな寄生虫は、体の中にもたくさんいます。例えば、有名なアニサキス(食中毒を引き起こす)は、イルカ・クジラが宿主種です。宿主種とは、その個体の中で有性生殖をおこなって子孫を残せる種のことをいいます。アニサキスはイルカ・クジラのお腹の中にものすごくいます。

 

私たちがアニサキスに寄生されるとお腹が痛くなるのは、中間宿主種だったり、免疫待機宿主種だったりするためです。人間は本来のアニサキスの宿主種でないため、アニサキスが人間のお腹の中で悪さをするため、お腹が痛くなるということです。宿主種と寄生虫は、ものすごく密な関係性を持っているので、こうしたことも研究しています。

 

また、乳汁が出ている場合は(画像はオオギハクジラのメス)、それを採取します。この乳汁の成分も解っていないことが多いです。私は獣医大の出身なのですが、例えば子猫にミルクを与えたい場合は、ペットショップでネコにあったミルクを当たり前のように買うことができます。まだミルクを飲んでいる子クジラが海岸いた場合、この子クジラにどんな成分のミルクを与えればいいのか解っていません。こうしたひとつひとつのことを調べていく必要があります。

 

生殖腺や卵巣・精巣からは、いつ排卵したか、いつ精子を作るようになったのかということが解ります。こうした各部位からを様々な研究ができ、たくさんの情報を得ることができます。

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 ■9ストランディング調査③

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 博物館なので、骨も重要な標本として保存しています。解剖をして色々な調査が終わった後に除肉をしてから骨を煮ます。例えば豚骨ラーメンは、豚の骨を煮てその汁を飲みますが、全くその原理と一緒です。私たちは汁を捨て、骨だけを回収します。骨を煮てタンパク質を除去して、色々洗浄した後に乾燥させます。展示する場合は、写真のように交連骨格として展示します。

 

研究する場合、あまり骨を組んでしまうと場所を取りますので、バラバラの状態のままで、博物館の標本庫に保管しています。残念ながら私たちの標本は、今回の「標本棟ツアー」には含まれていないので、なかなかお見せする機会がないのですが、機会があればお見せしたいと思います。

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10ストランディング調査④

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 先程、胃の内容物を調べると説明しました。本来彼らが食べているエサ生物が入っていれば、問題ないのですが、このスライドのように人間が出してしまったであろうゴミが、彼らの胃の中から出てきます。例えば、魚網だったりワイヤーのようなものだったり、手袋だったり、最近多いのが、ガムシロップやゼリーなどの小さなカップがそのまま胃の中から出てくることもあります。人工物が溜まって死んでしまったという個体は今は少ないですが、こうしたモノを調査中に見てしまうと、あまり気持ちのいいモノではありません。当たり前のことですが、自分で出したゴミは適切な場所に捨てることが、とても大切です。

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11ストランディングの原因① 環境汚染物質が高濃度に蓄積

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 人間社会の厳しい所ではありますが、人間社会が発達すればするほど、PCBDDT、ダイオキシンなどの環境汚染物質、いわゆる化学物質が開発され、人間社会の反映に役立ってはいますが、それらが様々な経路で海に流入すると、海の哺乳類は、海の環境での食物連鎖の頂点にいるため、こうした物質が海の中に蓄積され段階的に生物濃縮して、最後にはトップクレーターである彼らに非常に多く蓄積されていることがわかっています。有害物質を蓄積した海の哺乳類は、どういう影響を受けて、どう死んでしまうのかが世界的に問題となっており、私たちはストランディング個体を使って調査・研究をしています。個体にはものすごく高濃度に溜まってはいます。本当にこれが原因で死亡したのか、因果関係を結ぶのは非常に難しい。今日午前中に屋外でやっている解剖展示でも説明したのですが、教科書で習った水俣病やイタイタイ病などの公害病は、水銀が水俣病を引き起こすことが証明されるまで、30年以上かかっているはずです。ものすごく長い時間がかかってしまうわけです。過去の負の所見を繰り返さないためにも、今、何かが起っていることを皆さんに知って頂くため、日々情報発信をしています。

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12ストランディングの原因② 生物毒で死亡

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人間社会の影響かもしれませんが、世界的に赤潮または緑潮が発生する頻度が高くなっています。緑潮も動物プランクトンが海に大量発生してしまう現象ですが、こうした現象が各地で起こっています。皆さんがよく耳にする、エルニーニョやラニーニャも「人間社会による温暖化が一部影響しているのでは?」と言われています。

 

赤潮が発生すると、毒を持つ藻類が大量発生してしまいます。藻類の毒を藻類毒といいますが、この藻類毒が発生すると食物連鎖により生物濃縮して、食物連鎖の頂点にいる海の哺乳類・鳥類が、 この影響で世界的に数多く死亡していることが最近、解ってきました。日本ではどうなのかと言いますと、一時期、私も研究したことがあります。調査した2年間では、この藻類毒に侵されていた個体は、日本にはいませんでした。写真の個体は、カリフォルニアで撮影したものです。カリフォルニアでは藻類毒で死亡している個体が数多くいます。同じ太平洋に面している日本としては、赤潮・緑潮によって藻類毒がいつ発生するかわからいので、引き続きモニタリングしていきたいと思っています。

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13ストランディングの原因③ 混獲:漁具に絡まり死亡

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 漁網に絡まって死亡する個体も数多くいます。解剖展示している個体もそうした個体です。

 わりやすい例として写真のように、尾ビレが存在したはずの個体に、鋭利な切り口で尾ビレがない状態で発見されたりします。また、首や胸ビレの周りに漁網が絡まった個体、網の痕が残っている個体を結構な頻度で遭遇します。こうした個体を解剖して内臓をチェックするのですが、目新しい病気はなく、満腹の状態で死亡している事もあり、網にかかり死亡してしまったんだろうと思います。漁業関係者とは、連絡を密に取って共存できる方法を水産庁も模索していると思います。

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14ストランディングの原因④ 事故(船と衝突)

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 船と衝突して死亡した例もありました。写真のクジラは体長が10m位のナガスクジラですが、こんな大きなクジラでさえ船に衝突すると死亡してしまうことを知ってほしいと思います。大きいから大丈夫ということではありません。兵庫県で最初に発見された時は、写真でもわかるようにおたまじゃくしのように変形したクジラでした。解剖を進めた結果、腰周辺の骨を骨折し、ものすごく癒合してしまい、背骨が固まった状態で生き続けていたメスの個体でした。様々な内臓をチェックした結果、後躯麻痺いわゆる下半身不随であっただろうということがわかりました。ある時、船と衝突し骨折し、その後長く生きていたが、下半身不随になってしまい死亡してしまったのだろうと思います。10mを超すクジラでもこうしたことで死亡してしまうということを知って頂ければと思います。

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15ストランディングの原因⑤ 動脈硬化症

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 これは自然発生的な事例ですが、皆さんがよく知っている動脈硬化症を例に上げてみました。実はクジラにも動脈硬化症があります。写真は高齢のアカボウクジラですが、この個体は全身の血管が堅くなって死亡したようです。こうした病気で死亡することがあることを知って頂ければと思います。

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16展示標本としての活用①

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ストランディング個体をどのように博物館に展示・活用しているかを説明していきます。私たちは上野に展示施設を持っており、この施設内に地球館があります。この地球館の天井から18mのマッコウクジラが展示されています。これは2000年に静岡県に漂着したマッコウクジラが、様々な作業や調査・研究を経て展示標本となりました。実際生きていたのですが、残念ながら救助することができなかったので、漂着してから約4年半かけて常設の展示標本となりました。

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17展示標本としての活用②

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 テレビなどの特集で取り上げられた「マッコウクジラとダイオウイカの戦い」を2010年、2013年の深海特別展示の中で目玉として展示しました。これは、鹿児島県でストランディングしたマッコウクジラの骨を使って、再現展示を製作しました。マッコウクジラについては、「龍涎香(リュウゼンコウ)」も展示して、皆さんにマッコウクジラをもっと知って頂く展示もしています。

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18展示標本としての活用③

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 ストランディング個体ではありませんが、シロナガスクジラなどヒゲクジラの全身骨格標本展示や北海道でシャチが11頭漂着したことがあるのですが、その個体の歯を使って、何歳か年齢査定した結果も展示しました。13才、59才、0才と様々年齢の個体がおり、こうした知見もシャチを知る重要な情報として蓄積することができました。

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 19展示標本としての活用④ 新種!珍種!

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 ストランディング個体の調査をおこなっていると、極めて稀に新種を発見することがあります。これは前任者の先生が発見されたことですが、口の中にヒゲ板があるヒゲクジラという仲間があり、この仲間では90年ぶりの新種「ツノシマクジラ」という種類がいます。実はこの新種、山口県にストランディングした1個体から調査が始まり、新種として発見された経緯があります。もうひとつは珍種と言われていた「タイヘイヨウアカボウモドキ」という種類の例です。2002年に鹿児島県に漂着した1頭から調査が始まり、「タイヘイヨウアカボウモドキ」ということがわかりました。何が珍種かというと、実は鹿児島県にこの個体が上がるまで、世界的に存在することはわかっていたのですが、謎だらけでその見た目が全くわからなかった。鹿児島県で上がった個体のおかげで、体色や模様や形が初めて明らかになり、科博で発売している「世界の鯨ポスター」で今まで点線になっていた種類だったのすが、ようやく記載することができました。

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20展示標本としての活用⑤ 教材資料

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 「世界の鯨ポスター」は、前任者の先生が写真などから体色や模様を見て、例えば「スジイルカは目からスジがでているの?」などを確認したり、プロポーションについてもストランディング個体を使って計測した個々の値から、体形や部位の割合を推定し、渡辺さんという画家の方が描いてします。非常に教材として活用して頂けるだろう思って製作(耐水紙仕様)しています。

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21展示標本としての活用⑤ 様々な成果を科博HPで公開中!

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 こうした成果を科博のHPで公開しています。標本・資料データベースは4月から再構築して公開していますので、HPからも色々な情報を得て頂ければと思います。

▼標本・資料データベース

http://www.kahaku.go.jp/research/specimen/index.html

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22展示標本としての活用⑥ 教育普及

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教育普及にもおこなっています。本物を見て触って感じてほしいというのがありますので、例えば学生向けに学会で何かイベントを企画して、ストランディング個体を活用しています。

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23展示標本としての活用⑦‐1,2 啓蒙活動

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本日お越し頂きました科博オープンラボでも、現象や事象を知って頂くためにストランディング個体の調査解剖展示をしております。興味のある方は是非、お立ち寄りください。

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■おまけ 科博オープンラボ 解剖展示「漂着イルカの死因を探る」

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田島先生のお話にも出てきました解剖展示にも参加してきました。漂着したカマイルカ、水族館で死亡した子どものハンドウイルカの解剖調査を進めながら、研究者の方々が直接解説してくるとても贅沢な展示でした!

取りだされた内臓、筋肉にも触れることができ、その感触を確かめることができました。心臓を直接見ることができ、その大きさに驚き!さらに重鎮の山田格先生よる生解説では、ハクジラの鼻は体の中心線よりも少しズレおり、鼻の穴は尾ビレ側に閉まるのですが、アカボウクジラだけ逆に閉まるので、同定する時の参考にするということ、また、鼻の穴の近くに鼻腔があり、音を出すために、その部位に溜めた空気を利用しているようだと教えて頂きました!

別の研究者の方は、脊椎から伸びる無数の神経を一本、一本マーキングして、その経路を丁寧に調査されていました。「慣れです」とおっしゃっていましたが、なんという細かい作業…凄い!そして胃内容物を探す体験ができたり、実際の解剖調査を間近で体験でき貴重な体験ができました!さらにハンドウイルカの骨格標本も展示されていました!

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▼解剖展示で配布された資料▼

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